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デジタルマーケティングでのエンゲージメントの測り方:成果を生む実践ステップ

現代のマーケティングではSNSやWebサイト、メールなど、多くの接点を持つメディアの運用が求められていますよね。

運用の上ではさまざまな指標を気にしなければなりませんが、最近では「エンゲージメント」という言葉に注目が集まっています。

おおまかにいうと、エンゲージメントとは顧客とのつながりを測る指標です。

この概念や指標について深く理解できているか否かで、今後のマーケティングの成果が大きく変わるでしょう。

具体的に、今後より成果を出していくためには「エンゲージメント」の測り方やその活用の理解が必要です。

この記事では、エンゲージメントの測り方を知りたいマーケティング担当者に向けて、主要チャネルごとの指標やデータの見方、改善ステップまでを順序立てて成果につなげられるように解説します。

成果につながる分析と実践の基礎を一緒に学び、単なるマーケティング担当者から周りから一目置かれるマーケターへと脱皮していきましょう!

マーケティングにおける「エンゲージメント」の定義

マーケティングにおける「エンゲージメント」とは、顧客がブランドや企業に対して抱く関心・信頼・共感・愛着といった、心理的つながりの深さを表す概念です。

単なる「いいね数」や「アクセス数」では測れない、関係性の質を示す指標といえます。

エンゲージメントが高い顧客ほど、ブランドへのロイヤルティが強く、長期的な売上や口コミ拡散に貢献します。

具体的には、以下のような行動がエンゲージメントを示すサインです。

  • SNSでのコメント・シェア・リプライなどの積極的な交流
  • Webサイトでの滞在時間、回遊率、再訪率の高さ
  • メールやアプリ通知への反応、キャンペーン参加率
  • ブランド名での指名検索や、口コミ投稿などの自発的行動

これらを定量的に分析することで、どの接点で顧客が強い関心を示しているのか、どんな内容に共感しているのかが把握できます。

いまエンゲージメントが重要視される理由

現代のデジタルマーケティングにおいて、エンゲージメントが重要視される理由は、エンゲージメントの高さと売り上げの高さに相関がある事が分かってきたためです。

その背景には顧客行動の多様化と情報量過多があります。

かつてないほどに情報があふれる現代では、従来のクリック数やPVでは、顧客の本当の関心を測りにくくなっています。

昔はテレビやメールが主な情報源でしたが、今はスマホでSNSやYouTubeをいつでも見られるようになり、情報があふれて取捨選択が難しくなっていますよね。

この情報量の増大と顧客行動の変化のなかで、購買行動が顧客との関係性の深さによって変化する事が分かってきています。

SNSでの事例:投稿にコメントやシェアをする顧客は、単に閲覧するだけの人よりも購入・リピートの可能性が高く、口コミ効果も期待できます。

Webサイトでの事例:滞在時間や回遊の深さは、顧客が情報を理解し関心を持っている証拠です。

また、エンゲージメントを測定することは、施策の効果検証と改善のサイクルを回すためにも欠かせません

どのチャネルやコンテンツが顧客の関心を引き、関係を深めているのかを把握することで、成果を最大化できるでしょう。

デジタルマーケティングにおけるエンゲージメントマーケティングとは

デジタルマーケティングにおけるエンゲージメントマーケティングとは、顧客との長期的な関係を築くことを目的とした施策の総称です。

現代では、企業からの一方的な発信だけでは顧客に届きにくく、顧客が主体的にブランドに関わる仕組みを作ることが重視されます。

代表的な戦略は以下のとおりです。

  • 顧客の関心に合わせたパーソナライズコンテンツの提供

【具体例】ファッション投稿にいいねが多いユーザーには、季節のスタイリング提案を出す。

  • 双方向コミュニケーションを促すSNS施策

【具体例】ハッシュタグ投稿、写真投稿、動画チャレンジなど、フォロワーがコンテンツづくりに参加できる施策。

  • 行動データを活用したWebサイト・メールの改善サイクル

【具体例】WEB上でクリック率が低いCTAは、大きさ・色・文言を変更したり、ページ上部にも追加してテストする。

【具体例】開封率が高くてもクリックされない場合は件名や導線を改善し、クリック率は高いのに購入につながらない場合はランディングページ側を調整する。

これにより、顧客は「情報の受け手」から「ブランドと共に行動する存在」=商品レビューや写真を自発的に投稿し、フォロワーに紹介してくれたり、単なる一度きりの購入ではなく、継続利用やアップグレードを行ったりする顧客へと変化します。

主要チャネルでのエンゲージメントの測り方

デジタル施策におけるエンゲージメントは、チャネルごとに適切な指標で測定することが重要です。

測定する際は、各チャネルごとに企業が提供しているツールを活用する方法が王道となります。

複数のチャネルを横断して分析したい場合は、専用のツールを導入するかCSVをダウンロードして、エクセル等を利用し自社で内製することも可能です。

まずSNS・Webサイト・メール・アプリなど、それぞれのチャネルに特化した分析手法を理解しておく必要があります。

SNSでの測り方

SNSでのエンゲージメントは、顧客が投稿やアカウントにどれだけ関わっているかを示す重要な指標です。

Meta社・X社など公式ツールや、複数SNSをまとめて管理できる分析ツールを活用します。外部ツールなどは自社の予算に応じて検討してみてください。

SNSの管理画面からCSVをダウンロードして、エクセルなどで複数アカウントをまとめて分析できますよ!

具体的には、「いいね」「コメント」「シェア」「保存」などの反応や、投稿に対するリーチとインプレッションの比率を確認します。

これらのデータを分析することで、どのコンテンツが顧客の関心を引き、どの時間帯や形式が最も反応を得やすいかが分かるでしょう。

カテゴリ主な指標目的
反応いいね・コメント・シェア投稿内容への共感や拡散度を確認
行動リンククリック・保存購買意欲や関心の高さを測定
関係フォロー数・メンション数ブランドとの関係性・信頼度を把握

コメント数が多い投稿は、投稿内容への共感や議論が活発な証拠です。

SNSのエンゲージメントを正確に把握することは、次の施策改善やコンテンツ戦略の立案に直結します。

Webサイトでの測り方

Webサイトのエンゲージメントは、訪問者がどれだけ深くコンテンツに関与したかを示す指標です。

単なるPVや滞在時間ではなく、どのような行動を通じて価値を感じたかを把握することが重要となります。

また、エンゲージメントを測る際は、Google社の提供するGA4が「エンゲージメント率」指標が標準搭載されているため、おすすめです。

具体的には、ページ滞在時間・クリック率・直帰率・再訪率などを確認します。

カテゴリ主な指標意味
滞在平均滞在時間、スクロール率コンテンツの読了度・興味の深さ
行動CTAクリック数、資料DL、フォーム送信行動喚起への反応度
継続再訪率、直帰率、ページ/セッションサイトへの信頼・リピート意向

これらの指標を組み合わせることで、サイト全体での顧客の関与度を正確に評価し、改善施策に活かすことが可能になります。

GA4では一覧性に欠けるため、スプレッドシートにデータをエクスポートして、社内で優先するKPIを分かりやすくまとめるのがおすすめです!

メールマーケティングでの測り方

メールマーケティングにおけるエンゲージメントは、ユーザーがどの接点で情報をどれだけ積極的に受け取り、行動しているかを測る指標です。

測り方は、使用している配信システムやMAツールで自動収集するか、データを出力してExcelで分析する方法があります。

優先してみたい指標などは各社異なるため、まずは内製でまとめてみて、集計する量が多くなってきたときに専用のツールを検討するのが良いでしょう。

具体的には、開封率・クリック率・コンバージョン率・ですが、解除率などのマイナスの指標も併せてチェックしましょう。以下に代表的な指標やポイントをまとめました。

指標意味補足ポイント
開封率送信タイミングへの反応度開封=関心を引いた証拠。
クリック率メール本文の訴求力・行動誘導の強さCTA・リンク配置・文面設計の評価に直結
コンバージョン率サイト訪問・申込・購入など成果行動率エンゲージメントの「最終成果」指標
解除率内容への不満・配信頻度の過多負のエンゲージメントを把握する重要指標

アプリでの測り方

アプリにおけるエンゲージメントは、ユーザーがどれだけ積極的に関与しているか、継続しているかを測る指標です。

顧客の囲い込みのために、アプリを活用している企業も多くなっているため、エンゲージメントの測定とその活用の重要度が増しています。

測り方としてはアプリサーバー内のデータを掃き出し、エクセルなどで代表的な指標をまとめていくのが良いでしょう。

具体的には、アクティブユーザー数、セッション数・継続率・プッシュ通知反応率などが主要指標になります。

以下に代表的な指標やポイントをまとめました。

指標意味活用例
アクティブユーザー数日・月ごとのアクティブユーザー数継続利用・定着度の基礎指標
セッション数/滞在時間1回の利用あたりの関与度アプリ体験の充実度
継続率(リテンション)ダウンロード後の再利用割合期間を定めて継続率で評価(7日後・30日後等)
プッシュ通知反応率通知→アプリ起動の反応度コミュニケーション効果測定

エンゲージメント率を正しく測り売り上げにつなげるためのステップ

エンゲージメント率は単に測定するだけでは成果につながりません。

ここでは、目的設定からデータ分析、施策改善までの一連のステップを整理し、測定結果を実際の売上や顧客行動に活かす方法を紹介します。

各ステップを理解し、データに基づいた改善サイクルを回せるようになりましょう。

ステップ①:目的とKPIを明確にする

エンゲージメントの測定を成果につなげるには、まず施策の目的とKPIを明確に設定することが重要です。目的が曖昧だと、どの指標を重視すべきか迷い、改善施策も効果的に行えません。

具体的には以下のような設定が考えられます。

目的KPI(指標例)
ブランド認知を広げるSNS投稿のリーチ数・シェア数・フォロワー増加数
購買・申し込みを促進するWebサイトのクリック率・コンバージョン率・メール開封率
顧客との関係性を深めるSNSコメント数・レビュー投稿数・アプリ内アクティブユーザー数

KPIを定義することで、どのデータを追い、どの施策を改善すべきかが明確になります。目的と指標を一致させることが、成果につながるエンゲージメント測定の第一歩です。

ステップ②:データを統合して可視化

エンゲージメントの成果を正しく把握するには、チャネルごとのデータを統合し、可視化することが欠かせません。

SNS、Webサイト、メールやアプリなど、それぞれ別々に管理していると、全体が見えず、改善策も効果的に打てません。

データの可視化には、社内で作るダッシュボード(内製化)と、専門ツールで集計・分析する方法(外注やSaaS活用)の二通りがあります。

内製ダッシュボード:ExcelやGoogleスプレッドシートを用いて、必要な指標を自社でまとめる方法。小規模なデータや簡単な分析には手軽でコストも抑えられます。

専門ツール:TableauやPower BI※など、外部ツールを活用して大量のデータを統合・分析・可視化する方法。複数チャネルのデータを比較できます。

※TableauとPower BIはいずれも、データをグラフやダッシュボードで見える化し、分析を効率化するツール
Tableauは表現力と操作性に優れ、Power BIはMicrosoft製品との連携とコスパの良さが特徴。

最初は内製で十分です。データ量が増えたらツール導入を検討しましょう!

可視化することで、どのチャネルが成果に寄与しているか、どの施策を優先的に改善すべきかが明確になり、次のステップである高エンゲージ層の行動分析やパーソナライズ施策に直結します。

ステップ③:高エンゲージ層の行動を分析

高エンゲージメント層とは、SNSで積極的に反応したり、Webサイトで複数ページを閲覧したりするなど、ブランドに深く関わる顧客のことです。

この層の行動を分析することで、売上やリピートにつながる施策のヒントを得られるでしょう。

具体的には、どのコンテンツやチャネルで反応が多いか、どのタイミングでアクションを起こすべきかを把握することです。

高エンゲージ層の分析事例

  • SNSでコメントやシェアが多い
  • Webサイトで複数ページを閲覧
  • メール開封率・クリック率が高い
  • アプリ内で特定機能を頻繁に利用

分析結果をもとに次の施策を具体化することで、顧客の関与をさらに深め、売上やロイヤルティ向上に近づきます(そのブランドをより好きになり、継続して選んでもらえる状態が強くなること)

ステップ④:施策をパーソナライズして改善

高エンゲージ層の分析結果を活用し、施策を顧客ごとに最適化(パーソナライズ)することが、成果につながる重要なステップです。

たとえば、メールでは開封履歴やクリック履歴に基づき、関心の高いコンテンツを優先的に配信しましょう。

SNSやアプリでは、過去の行動データをもとにおすすめ情報やキャンペーンを個別化してみるのもおすすめです。

パーソナライズ施策の例

チャネル具体例効果・狙い
メール過去にクリックした商品の情報を優先配信関心に即した情報提供で開封率・クリック率向上
SNS過去に反応が多かった投稿と関連する広告を表示エンゲージメントの高い顧客との接触頻度向上
Webサイト閲覧履歴に基づくおすすめ商品やコンテンツの表示購入・回遊率の向上、サイト滞在時間増加
アプリ利用履歴に応じた通知やキャンペーン配信アクティブユーザーの維持・購入促進

パーソナライズ施策は、顧客の関与度をさらに高めるだけでなく、コンバージョン率やリピート率の向上にも直結するはずです。

施策後は必ず結果を計測し、改善サイクルを回すことで、継続的な効果最大化が可能になるでしょう。

エンゲージメント向上を阻む2つの落とし穴と回避策

エンゲージメント施策では、正しく測定していても、陥りやすい落とし穴があります。

ここでは、実務でよく見られる3つの課題を整理し、具体的な回避策を紹介します。

1.指標ばかり追って顧客との関係性を見失う

エンゲージメント施策では、数字だけに注目してしまうと、顧客との本質的な関係性を見失うリスクがあります。

たとえば、いいねやクリック数ばかりを追うと、短期的な反応は増えてもブランドへの信頼や愛着が深まらないどころか、下がってしまうケースがあるため注意しましょう。

これを回避するには定量的な指標と、定性的な指標をバランスよく組み合わせることが重要です。

定量指標と定性指標の組み合わせ例

定量指標定性指標活用ポイント
SNSコメント いいね数 / クリック数コメント内容のポジティブ度反応の質を評価し、単なる数字だけで判断しない
SNSの投稿シェア数SNS上の会話量・感情分析拡散が本当に関心や共感につながっているか確認
Webページ滞在時間 / 回遊率サイト内レビュー・アンケート回答顧客の理解度や満足度を把握し、改善施策に活かす

事例1:顧客との関係性を見失った具体例

ある企業はSNSの「いいね数」をKPIにキャンペーンを行い、反応は高かったものの、コメント内容は応募目的が中心で、共感や購買意欲、ブランド愛着にはつながりませんでした。

SNSのいいねキャンペーンはよく見かけます。フォロワー獲得から一歩先に進んだエンゲージメントを高める施策にまで踏み込めるとよいですよね。

事例2:数字だけで施策を判断した失敗例

別の企業は、ページビュー数の増加を指標に施策を実施しました。広告で閲覧数は伸びたものの、商品詳細や購入ページへの遷移は少なく、売上にはつながりませんでした。

このケースでは広告のターゲット設定の良し悪しや、Webの使い勝手が顧客目線ではなかったのではないか、などいくつも振り返りポイントがあります。

担当者がページビューだけを目的とすると陥りがちなミスといえるでしょう。

2.短期的な反応を成果と勘違いする

SNSやメールなどで得られる「いいね」「クリック」「開封」といった短期的な反応は、即座に成果が出ているように見えます。しかし、これをそのまま売上や顧客ロイヤルティ向上の指標と認識すると、施策の方向性を誤るリスクがあります

そのため、このような短期反応は別の指標と組み合わせて評価するとよいでしょう

短期反応と組み合わせるとよい成果指標の例

短期的な反応中・長期的な成果指標活用ポイント
メール開封率購入率 / コンバージョン率関心の高い顧客を購入行動につなげられているか評価
SNS「いいね」数コメント内容の質 / フォロワー増加反応が一過性ではなく、ブランド理解や共感につながっているか確認
Webページクリックページ滞在時間 / リピート訪問単なるクリックではなく、顧客の関与度や回遊度を把握
広告のクリック数購入・登録完了率短期の接触が実際の成果に寄与しているかを判断

セットで評価する際のポイント】

  • 時間軸を意識する:短期反応は即時評価、長期成果は数週間~数か月単位で追跡し、施策の持続効果を確認する。
  • 複数指標を組み合わせる:開封率やクリック数だけでなく、購入率・滞在時間・レビュー投稿数などを総合的に評価する。
  • 顧客セグメントごとに評価する:新規顧客と既存顧客で反応の意味合いが異なるため、グループ別に分析する。

コラム1:メール開封率と購入率の組み合わせから次のアクションにつなげた事例

ある企業はメール開封率は高かったものの購入率が低く、クリック後の導線や商品ページを改善した結果、原因を特定して売上を伸ばしました

コラム2:SNSいいね数とコメント質の組み合わせ事例から次のアクションにつなげた事例

ある企業はSNSのいいね数だけを指標にしていて効果が出ませんでしたが、コメント内容を分析することで購買意欲の高い層を特定し、次の施策精度を高めました。

まとめ|エンゲージメントは測るだけではなく活かすことが重要

デジタルマーケティングにおけるエンゲージメントは、単に測定するだけでなく、成果につなげるために活用することが大切です。本記事で紹介したポイントを整理すると以下の通りとなります。

  • エンゲージメントの定義を正しく理解し、購買行動やブランド認知との関係を意識する
  • SNS・Webサイト・メール・アプリなど、チャネルごとの測定方法を把握する
  • KPIを明確化し、データを統合・可視化して顧客行動を分析する
  • 高エンゲージ層の行動を基に施策をパーソナライズし、改善サイクルを回す
  • 指標偏重や短期反応の誤認、改善行動の欠如など、落とし穴を回避する

エンゲージメントを適切に測定し、分析結果を施策に反映させることで、顧客との関係性を深め、売上やリピート率の向上につなげられます。

まずは本記事で紹介したステップを実践し、ひとつでも自社のデジタルマーケティングに取り入れてみましょう!

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